通信Vol.187(2019年12月)

早いもので令和元年もあと二週間あまりとなりました。来年はいよいよ東京オリンピックの年ですが、私の周りでもチケットの申込みをした人がチラホラいますが、倍率が高く観戦はなかなか難しいようです。私はもっぱらテレビ観戦に徹しようと決めています。

 今回は「考える」ということについてお話ししたいと思います。
 昔の人と比べて今の人は考える力が衰えてきていると言われます。何かわからないことがあるとすぐに「ググって」調べる若者は多いようです。若者だけでなく年配の人でもすぐに「ググる」人はいると思います。かく言う私もググり癖があります。「ググる」とはインターネットのGoogle(グーグル)やYahoo(ヤフー)などの検索エンジンを使ってキーワード検索をして、調べたい事柄について書かれているネット上の記事を閲覧することを言います。
 私が子供の頃は、図書館へ行って調べたり百科辞典で調べたりするのが普通でした。インターネットの普及で調べ物をするスピードは格段に向上しましたが、頭を使って考える機会は格段に減りました。しかもインターネットに掲載されている情報を鵜呑みにしそうになることもあります。情報の真偽についても怪しいのに、それすらも疑わないことが多々あります。
 「ググり」癖がついてしまうと、わからないことがあっても自分の頭で考えないで、すぐに「ググる」。スマホやパソコンが無いと他人に聞くようになります。便利で良いじゃないかと思う人もあるかもしれませんが、AI(人工知能)がどんどん人間の仕事の現場に入ってきている昨今、頭を使わないでスマホやパソコンばかりを頼りにしていると、AIに仕事をとられてしまう可能性があります。
 実は数ヶ月前にこんな出来事がありました。行政関係の窓口で助成金の担当者に「スキルアップ助成金について教えて欲しいのですが?」と尋ねると「スキルアップ助成金??」「何かの補助金でしょうか?」「こちらでは扱い無いですねー」との返答。おかしいと思いスマホで「スキルアップ助成金」をググッてみました。すると「キャリアアップ助成金」が出てきました。つまり私が「キャリアアップ助成金」を間違えて「スキルアップ助成金」と言っていたのです。グーグルは「もしかしてキャリアアップ助成金?」と言い間違いを考慮して検索結果を表示してくれたのですが、担当の人は私の言い間違えの可能性を考慮せずに、思考停止状態でした。この対応では、人間よりグーグルのほうが優秀であると言わざるを得ません。窓口対応の担当者はマニュアル通りの対応だったのかもしれません。しかしマニュアルから外れたこと(今回の場合は客の言い間違い)が起きた時に、自分の頭で思考するという行動が出来ないと、将来自分の仕事をAIにとられる可能性があります。現在AI(人工知能)と呼ばれるものは、過去に学習したデータを蓄積して、可能性のある未来を予測するシステムと言われています。つまりゼロから思考する部分ではまだ人間の方が可能性を秘めているわけです。
 思考は癖付けが大切です。インターネットニュースを読んでも本当だろうかと疑ってみる。ググらないで自分で考えてみる。色んなことに想いを馳せてみる。他人に聞く前に自分の頭で考えてみる等々。自分の可能性を信じていろいろ考えてみませんか?