通信Vol.219(2022年8月)

毎日暑い日が続いたと思ったら、いきなり集中豪雨で土砂災害の危険なども出てくる地域があります。本当に何が起きてもおかしくない今日この頃です。

前回、自己肯定感を高めるには「Doing」(行動や努力)や「Having」(行動や努力によって得られたもの)でなく「Being」(あるがままの私)を受け入れることが重要というお話をしました。

「Doing」とは自分の行動で、テスト勉強を一生懸命やったとか、スポーツの練習を一生懸命やった。友達とケンカした、人を傷つける言葉を言った等々です。

「Having」とは、Doingによって何かを手に入れた状態のことです。学校の成績、地位、収入、肩書、足が速い、腕力がある、他人に対して影響力を持っている、お金や財産、ブランドのバッグや時計などです。

「Being」とは、あるがままの状態のことです。自己受容というのは自分のBeingつまり、あるがままの自分を受け入れるということです。

よく誤解されるのが自己肯定感というと、○○大学に合格した、有名企業に就職した、オリンピックでメダルを取った、国体に出た、等で高まると思われがちですが、それらは自信にはつながりますが、自己肯定感とはちょっと違います。つまり「Doing」=人一倍努力した、勉強を頑張った、節約したことによって「Having」=希望の大学に入れた、会社を立ち上げた、オリンピックに出た、ブランドのバッグを手に入れたという結果を受け取るわけですが、これらを自己肯定の拠りどころとすると、受験に失敗した、事業に失敗した、怪我をしてスポーツが出来なくなった、頑張る気持ちが起きない、やる気が起きないというときに自己肯定感が下がってしまいます。努力することは素晴らしいのですがその努力や頑張りがいつも続くとは限りません。目標に向かって頑張っているときは自己肯定感が上がりますが、その頑張りを四六時中保てる人はいません。「Doing」「Having」は条件付きの自己肯定にはなるのですが、どんな時でもブレない自己肯定感というわけではないのです。

ブレない自己肯定感には自己受容が必要不可欠なのですが、「Being」=「あるがままの自分」を自己受容していくということは、頑張れるときはもちろん、頑張れない自分も受容(許す)ということです。ではどうしたら自己受容を深められるのかということについて考えてみたいと思います。

一つ目のアプローチとしては「マインドフルネス」という手法です。10年ほど前からGoogleIntelといった世界的企業が社員のストレス緩和やクリエイティビティ開発のために社員研修に導入したことで注目されるようになりました。

マインドフルネスとは、今この瞬間に自分の内面で起きていることに良い悪いの判断をせず、起こっている感情をそのまま受け入れるということです。

「自分はいま明日の仕事のことを心配しているな」

「自分は過去にあったあのことを悔やんでいるな」

「自分はいまイライラしているな」

こんなふうに、今この瞬間に湧き上がる感情をあるがままに受け入れること、これがマインドフルネスです。心配する必要ないとか、悔やんでも仕方ない、イライラしてはいけない心を落ち着かせよう、といった禁止令を出さないで、あるがままの感情を感じるのがコツです。

腹が立った時には「腹が立っているな」という感情を感じたら「どうして腹が立っているのかな」と怒りの下にある感情を探ってみましょう。多くの場合「裏切られて悲しい」「自分を尊重してもらえなくて惨めだ」「がっかりした」「不安だ」という第一感情を認めたくないために、第二感情である「怒り」にすり替えてしまっています。感情の源泉に目を向け。第一感情を感じ取ってみましょう。

                                              (次号につづく)