通信Vol.26(2006年7月)

 今年の梅雨は、雨が少ないなーと思っていたら九州地方は大雨で水害が出ているらしいですね。先回の冬を振り返ってみると、もう要らんっていうくらい雪が降って、夏まで雪が残るんじゃないかっていうくらい雪を見ましたが、きれいさっぱり消えて地面に吸い込まれたところをみると、豪雪と空梅雨で降雨量の収支はトントンかななんて思う今日この頃です。
 今回は「レッテル法」という話しをしたいと思います。「レッテル」と聞くと「あいつは札付きの不良だ」とか「遊び人だ」「だらしがない」等あまり良いイメージがありませんが、今回とりあげたいのは良い意味での「レッテル」です。
 「やさしい人」「頑張り屋さん」「勉強家」「仕事の鬼」「家庭的な人」「器が大きい人」
「器量が良い」「笑顔が素敵」「きれい好き」「真面目な人」等々、プラスのレッテルはいくらでもあります。とかく他人にはマイナスのレッテルを貼ってしまうものですが、レッテルを貼ったことによって、本当は違うのにレッテルの通りになってしまうことが良くあります。中学時代に大人たちにかまってもらいたくて、学校をサボったりタバコを吸っているうちに「不良のレッテル」を貼られて、レッテル通り本当の極道の世界に入っていっちゃった人もいます。逆に小学校の児童に「このクラスは学校で一番掃除が上手ね」と言っていたら本当に掃除に熱心な生徒ばかりになったという話を聞いたことがあります。「もっときちんと片付けなさい」とか「きちんと掃除しなさい」と説教するより、はるかに効果的な方法なのです。
 実は、このレッテル法はノースウエスタン大学のリチャード・L・ミラー博士たちによって実証されている便利な方法なのです。説教する時間があったら、レッテルを貼った方がお互い気分を害さないし、はるかに効果的です。
 どうも「良い」、「悪い」は別にしてレッテルを貼られると、人間はレッテルに見合う人間になろうとする回路が大なり小なりあるようです。以前この通信で、人間にはなりたい人になるオートパイロット機能が備わっているという話をしましたが、それと似たようなものです。
子供に対しても大人に対してもマイナスのレッテルを貼りたがる人は、結果的に自分の周囲の人たちのやる気を奪い、悪い方へと流されて行きます。自分も周囲の人たちに巻き込まれながら、悪い方へと流されていることに気付かないのです。反対にプラスのレッテルを貼り続けると、周囲の人たちもどんどん向上し、それに押し上げられる形で自分もプラスの方向へどんどん流されていきます。マイナスの方へ行こうと思っても、流れに呑まれるようにどんどんプラス方向へと押し出されます。冗談でもマイナスのレッテルは貼らないほうが良いのです。
 周囲の人も成長させて、自分も成長したいと思ったら、周囲の人たちにどんどんプラスのレッテルを貼ってあげればよいのです。夫、妻、子供、上司、部下etc・・・ただし、現実に無い事を言っても効果は薄いのです。コツは「ありそうな事(出来そうなこと)を口に出して言う」ことです。遊びほうけている子供に「あんたは将来、医者になるのよ」と言い続けたらストレスを与えるだけです。それよりも、子供の好きなことや得意なことを見つけて「あなたの読書好きはクラスで一番ね」とか「漢字博士だね」といった現実に近いレッテルから、ちょっと背伸びすれば手の届きそうなこと「親孝行な子ね」「あなたは几帳面な人なんだから」といったレッテルを貼るのが上手な張り方です。
 この「レッテル法」はコツさえつかめば、簡単で時間も労力もいらない説得法です。ぜひ今日から活用してみてください。