通信Vol.57(2009年2月)

 例年ならつるはしを持って、会社の駐車場の氷を割っている時期なのですが、今年はそんな仕事も無く嬉しいやら寂しいやら、複雑な気持ちで春の来るのをひたすら待っています。

 さて今回は地雷についてお話ししたいと思います。地雷というのは主に戦争の兵器で、敵の戦車や装甲車、兵隊を破壊殺傷するために地面に埋めるものです。敵を倒すために埋めるのですが、しばしば味方の埋めた地雷で被害を被ることもあるようです。

 今回は戦争の話ではなく、人間関係において対人地雷を知らず知らず自分が埋めてしまい、忘れた頃に自分が地雷を踏んで大怪我をしている人を度々見かけるのでその話をしたいと思います。

 家庭内でお母さんが子供に向かって夫の愚痴を言っているのを聞くことがあります。「まったくお父さんはだらしないんだから・・・あんたたち大きくなってもお父さんみたいな人にはならないでよ!」「お父さんたら、まったくあてにならないんだから。頼る方が間違いだわ!」怒りにまかせて夫の悪口を子供に吹き込んで、自分が同情をかおうとするあまりこんな言動をするのかもしれません。こんなのはよくある光景ですが、すでに地雷を埋めこんでいるのです、後で自分が大ケガするとも知らないで。
 こんな言葉を聞いているうちに子供は父親のことをどう思うでしょうか?「うちのお父さんはダメな父親だ」「お父さんって頼りないんだ」と潜在意識に聞かせて育った子供は、お父さんの注意や叱責なんてへっちゃらな人間に育ってしまいます。

 思春期真っ只中の子供たちは、お母さんの小言を聞き飽きて言うことを聞かなくなります。母親は「お父さん何とか言ってやってよ!」と怒りの矛先を夫に向けますが、時すでに遅し。日頃から天下の宝刀に塩水を吹きかけるがごとく、夫の悪口を言ってボロボロサビサビにしちゃってますから、切れ味は最悪です。こどもが「だらしないお父さん」の言うことを聞くはずがありません。
 自分でせっせと地雷を埋めて(埋めたことも気付かず)後で地雷を踏んで、大ケガするのは自分です。

 親子の関係でも似たようなことが言えます。自分の親や義理の親を粗末に扱ったり、疎ましくあしらったり、悪口を言っているのを傍で子供は見たり聞いたりしています。そんな子供が大人になったら年老いた自分を大事に扱ってくれるでしょうか?自分が親に対してやったように、そっくり真似をした時に悔しがったりしても時は戻りません。

 怖いのは、子供が親のやることを見ていて無意識に「こうゆう場合は、こう言えばいいのか」「こんな時はこうするのが簡単で楽なんだ」と潜在意識にプログラミングしていくことなのです。

 これを職場に置き換えるとどうでしょう。後輩の前でカッコ良く上司に意見したり、反対したりするのをテレビドラマなどでは「自分の意見を持っていてカッコイイ先輩」と映るかもしれませんが、自分が管理職になって部下を持つようになると、今度は、かつて自分がやってきたように部下に自分がやり込められる番なのです。

 目に見えて、すぐには結果が現れなくても、自分の蒔いた種は自分が必ず刈り取っていかねばならないのが宇宙の法則なのです。