通信Vol.60(2009年5月)

 毎年この時期になると、5月病という言葉を聞くようになります。僕も毎年この時期になると滅入(めい)るような気分にとらわれるので、5月病の常連かもしれません(笑)でも、そんな時は無理に元気を出さず、心はブルーのままで体は仕事や習い事をしてみる「森田療法」を実践しています。興味のある方は、お教えしますので私(田中)までお問い合わせください。

 今回は人生で何度かぶち当たる、自分特有の問題点について一緒に考えてみたいと思います。
あなたは、度々同じような問題で悩んだり悲しい思いをしたり、悔しい思いをすることってありませんか?
 僕は、この会社を立ち上げるまで度々同じような問題にぶち当たって、転職を繰り返していました。それは、仕事について1年ほど経つと仕事の流れが見えてきて、他人の効率の悪さや上司としての在り方に疑問を持つようになり、悪いところ探しを始めてしまうという悪い癖が引き起こす悩みでした。
「もっとこうすれば効率が上がるのに」「そんなことを議論するだけ時間の無駄」「こんな会議やるだけ無駄」「あんな言い方をされたら、やる気を無くすだけ」とダメ出しのオンパレードでした。自分だけが正しいと思い込んでいるから、他人の良いところを見つけられない悪魔のような心が度々自分を支配するのです。しかもそんな自覚がなく、まるで正義のヒーローのようにダメ出しをするから厄介なのです。もちろん本人に直接進言するわけでなく、自分の心の中でブスブスとくすぶりながらダメ出しをしているから、自分の体調にも不調をきたすのです。
しかしながら、他人にダメ出しをしてきた結果、自分が会社を作ろうと思い立って現在に至っているわけですから、このときの自分があればこそ今の自分があるわけで、今となっては過去の自分に感謝しています。

今でも他人に対するダメ出しの心は、生き続けていて何かの拍子にムクムクと起きてくるのですが、数年前、僕がダメ出しを止めようと思ったきっかけのお話しをしたいと思います。
それは「人生はジグソーパズルのようなものだ」というお話です。
ジグソーパズルというのは、すべてのピースが揃わないと完成しないわけで嫌いなピース、好きなピースという選別が出来ません。見た目が一色で面白い模様じゃないからと言って、そのピースを捨ててしまったらパズルは完成しないわけです。
ダメ出しをしている、あるいは嫌いだからと言って避けているのは、自分の嫌いなピースを放り投げてパズルを完成させようとしているのと同じことです。子供がジグソーパズルのピースを放ったら、後ろで見ていた母親がそっと拾って、子供に気付かれないようにテーブルの上のピースに混ぜてくれますが、人生でも同じように放り投げたピースをまた同じように何かの力が働いて、元のピース群に混ぜてくれるから同じ問題に何度もぶち当たるのだというのです。

たしかに過去を振り返ってみると、つまづくポイントは大体似たような人間関係だったことに気付きました。僕の場合は「目上の人との人間関係」です。
そのことに気づいた時から、同じ悩みは消えてなくなりました。嫌いなピースを放っていたことに気付いた瞬間、そのピースがジグソーパズルの一部分としてはまり込むようです。
自分自身に気付きが無い=ピースを捨てている限り、永遠にその問題に悩ませられるのです。

問題は起きている現象の中にあるのではなく、自分自身の心の中で起きているのだと気付くと色んな悩み事の解決の糸口が見えてくるのかも知れませんね。