通信Vol.75(2010年8月)

今年のゲリラ豪雨や猛暑を目の当たりにすると、人間の営みや思いとは無関係に自然は自ら動いているんだなーと痛感させられます。その自然の中で居候しているのが人間を含めた生き物なのに、それを忘れて傲慢になってくる人間に、自然は力を見せつけてきます。台風や豪雨など「自然災害」って言いますけど、人間から見たら災害だけど、自然から見たらただの自然現象なんですよね。
 なんだか立松和平さんのような出だしになってしまいました(笑)今回は「会社の上司は部下に何を求めているか」ということについて、派遣先の管理職の方からよく言われることについてお話ししたいと思います。

仕事はスキル(能力)が一番大事と思っている人は多いと思いますが、そう思っているのは部下の方で、管理職の殆どは、そう思っていないようです。少し前にテレビで「ハケンの品格」というドラマをやっていたので見た人も多いと思います。主人公の大前春子は人並み外れたスキルの持ち主で色んな資格を持ち、どんな仕事でもテキパキこなしますが、性格がきつくて、取っ付きにくい印象を受けます。
あのドラマを見た友人は「ハケンってあんなに凄い人が登録しているんだね」と思い込み、クライアント(客先)の担当者からは「ああゆうすごいスタッフを連れてきてよ」と何度も言われて苦笑したものです。というのも短期の派遣ならば大前春子バリのスタッフが重宝されるのですが、半年以上の長期の派遣になると一番トラブルの種になりやすいキャラクターだからなんです。
 では何がトラブルの原因になるのかというと、仕事が出来るという自信から出てくるプライドで、上司の指示を鵜呑みに出来なくてぶつかったり、「仕事をさせてもらっている」という謙虚さが無いと怒りをかったりしています。
 もちろん仕事にたいする自信は持つべきだと思いますが、上司を尊重したり同僚を敬う謙虚さの無い人(表に現れない人)というのは大概、評価が低くなりがちです。技術的なスキルがあるにも関わらず、ヒューマンスキル(人間関係の能力)不足で職を失う人は少なくありません。

 卑屈になれというのではありません、仕事があって収入を得られることへの喜びを伝えたり、何かしてもらった時の「○○さん、ありがとうございます、助かります。」の一言が人間関係の潤滑油になるのです。「仕事をさせてもらっている」という謙虚さを持てば、雇用する立場の人の「働いてもらっている」という感謝の心に共鳴します。もしどちらかの一方通行で、相手が感謝していても「働いてやっている」「使ってやっている」という気持ちしか出てこないのならば、人間として寂しい人だと思います。

 もう一つの落とし穴は、「自分しか出来ない仕事」です。頑張って誰も真似の出来ない仕事をすることは大事ですが、「自分しか分からない仕事」を持っていたら危険です。誰も真似は出来ないけど、誰でも代わりに最低限、その仕事が出来る状態を作っておくことが周りや上司の安心感に繋がります。その人しか分からない状態というのは、組織にとっても色んな意味で危険な状態なのです。
それを防ぐ為には、日頃から周りの人に上手に仕事をお願いしておくことが大事です。少しずつお願いしておけばいざという時に周囲の人がパニックにならずに済みます。万が一、周囲がパニックになると怒りの矛先は自分に向けられることになるのですから。
 仕事も子育ても、人材教育も「手放れ(てばなれ)」のいい人が楽に成果をあげられます。いつまでも自分一人が大変な思いをしていると思ったら、固く握りしめているその手の力を抜いて、少しずつ手放し、相手や周囲の人に委ねてみませんか?そうすれば自分も周囲も少し楽になるはずです。

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