通信Vol.82(2011年3月)

 先日11日の東北・関東地震津波から、テレビは次々に被害状況を更新して、今までの地震の常識・経験をひっくり返すほどの大震災にただただ驚き、人間の営みの脆さを実感すると共に。生存者の一刻も早い救出を念じます。気持ちが沈みがちになってしまいますが、世界の人たちからは日本の建物の耐震構造の優秀さや、日常の避難訓練の成果、地震津波の規模の割りに生存者が多いこと、街中や避難所で秩序が保たれていることに賞賛が寄せられています。
 こんな状況でも、首相や政府の対応にダメ出ししているコメンテーターを見ると、何だか悲しくなってきますが、他人を批判するよりも自分が今何をするべきなのか、冷静に考えていきたいと思います。
 
 アクシデントに際した時に、真っ先に行動をおこす人、他人が動くのを見届けてから動く人、批評しながら動く人、批評だけして自分は動かない人、他人に賞賛を送る人と様々な人がいます。他人は自分を見てどう評価するのか、気になる人は多い、というより自分の評価が気にならない人はいないと思います。
 他人は、自分の何を見て評価すると思いますか?
 ロシアの小説家・思想家トルストイは、これについて次のように言っています。『あなたは自分を「どんなことができるか」で判断する。しかし、他人はあなたを「実際に何をした人か」で判断するのだ』
 とかく、自分を他人にアピールする時に、夢を語ったり、自分は何が出来るのか、政治や体制への評論を展開したりしますが、聞いている相手は自分が何をしてきたかに関心を示して、そこでしか評価出来ないということなのでしょう。

 就職活動をする時の履歴書でも同じことがいえます。職務経歴はどんな言葉よりも説得力があるでしょう。沢山の資格を持っていても実践の伴わない資格なら、絵に描いた餅でしょうし、実際にやってきた仕事に伴い、取得してきた資格ならば光を放ちます。
未来の空想よりも実体験の経験話のほうが、はるかに言葉に重みがあります。有能な面接官ならば、過去の職歴について質問し、あらかじめ用意して行ったような実体験を伴わない作り話などは、簡単に見破ってしまいます。
ただし、海外に何年住んでいた、スポーツで何々をやっていた、自転車で日本一周したといったような興味深い経験は、人生を豊かにする経験ではありますが、就職面接の時には、かえってマイナスになる場合があるので注意が必要です。会社の面接官は、目の前の人が会社にどっしりと根を下ろして仕事が出来る人なのかということも大事な要素だからです。
 
年間数百回の講演をこなす中谷彰宏氏は、大勢の人前で話す時にスピーチの内容で人の心を引き付けて、印象付けようと思ったら自分のエピソードを語れと言っています。確かに話し手が実際に経験したびっくり体験や、恐怖体験、楽しかった体験などは、聞く人の関心をかきたてますし、記憶に長く残ります。
 
どんなことでも、テレビやラジオ、人づてに見聞きすることよりも自分でした体験のほうが何倍も学習効果がありますし、色んなことを我慢して一つの会社に長く勤めることは、何ものにも代えがたい宝となります。
子供も親の言うことよりも、親のやることを見ていると言われます。

 「何を言うか」の前に「何をやるか」を考えて行動をおこしてみませんか?NIKEのCMにもありましたよね「JUST DO IT!」(とにかくやれ!)