通信Vol.88(2011年9月)

暑い日が続く間にも、暦の上では確実に秋なんですね。暑かったり涼しかったりで体調を崩していませんか?

 今回は、世界は意外と狭いというお話をしたいと思います。
社会はお互い離れているように見えても、実はみなつながりあっていて、世界は意外と狭いという学説をエール大学のミルグレムが発表しました。1967年に行ったミルグレムの実験は有名です。それはこんな実験です。
アメリカ中部の州で160人の被験者に、アメリカ東部にあるボストンに住む、ある人物の名前と写真を見せます。被験者にとっては全く面識の無い人物です。
被験者は、自分の知り合いにその人物の名前と顔写真を見せ、もしその知り合いが知らなければ、知り合いの知人を紹介してもらい、その人に尋ね・・と知り合いつながりで尋ねていった場合、どれくらいでこの人物にたどり着くか、という実験でした。
すると平均して6人の知人を伝ってたどり着くという結果が得られました。『6次の隔たり』で私達の社会はつながっていると発表されたのです。
これは様々なデータでも実証されていることですが、メジャーなSNSサイト、ミクシィでもその友人同士の関係図を分析したところ、6〜7人で95%以上の利用者がつながりあっているというデータが発表されています。
つまり、大好きな芸能人と知り合いになろうと思ったら、知人の紹介を6回ほど繰り返せば辿りつけるということです。世間って意外と狭いと思いませんか?

このような学術的な研究が行われる以前から営業のプロは「商談を断られても、感謝して丁寧に退室した方がいい。人はみなどこかでつながっているかわからないのだから。」と口をそろえて言います。自分も営業をするので、常に心がけていきたいと思います。
これに付け加えるなら、私も仕事柄、色んな会社やお店に飛び込み営業(アポイントを取らないで営業をすること)をかけますが、アポイントを取っていない営業マンでも丁寧に対応してくれる会社(お店)はほぼ間違いなく儲かっています。そりゃそうです、丁寧に対応してもらったら部外者である営業マンは自分の身の回りでその会社(お店)の宣伝をして歩きますから。もしその逆の場合は、最悪マイナスの広告を広めて回るか、良くても広告効果は望めません。

 常に相手の立場に立って物事を考えたり、言ったりすることはとても大切なことです。もちろん陰口を言わないこともです。世間は自分が思うよりもっともっと狭くて、あなたが誰かを傷つけたり、陰で悪口を言ったことは、回りまわって自分にとって悪い状況を作り出します。
こう聞くと、身内やごく親しい友人だけになら、誰かの悪口を言っても良いだろうと思いますか?特定の友人だけに話したり、家で一人の時に独り言を言うだけならいいと思いますか?誰も聞いていなくてもマイナスのエネルギーに満ちた言葉を自分の耳は聞いていますよ。そんな負の言葉を聞き続けている体は、自分の言葉で痛めつけられていきます。

 他人の悪口を言わない、暴言を吐かないというのはそれだけで財産です。私は、今まで何人かそんな人を見てきましたが。そんな人に共通するのが周りの人から愛されて仕事にも恵まれているということです。自分だけ言いたいことを我慢するのは損だと思わないで下さい。毒を吐いた後処理の方が何十倍も大変だし、自分自身にも毒がまわるものです。自分が吐いた毒の始末は、遅かれ早かれ必ず自分でしなければならないのです。
 誤解しないでほしいのは、誰かに傷つけられたら泣き寝入りをしろと言っているのではありません。相手を問い詰めるのではなく、自分が傷ついたことを相手に伝えたり、誰か心の内を聞いてもらうことは自分の精神を健全に保つために必要なことです。