通信Vol.89(2011年10月)

今年は、例年よりもゆっくり秋になっているようで、“寒い”と感じる日が少ないような気がしますが、山の木々は色付き始め、しっかり秋の訪れを感じさせます。最近の気候の変化で、全国的に桜が春と勘違いして、咲き乱れているらしいですね。
 
今回は「自分中心の勧め」と題してお話ししたいと思います。
誤解しないで下さいね、今回皆さんにお勧めするのは、世に言う「自己中」とは違います。自分の中で完結する考え方ということです。

 人と話していてこんな会話になることはありませんか?「あの人のこともう信じられなーい、だってこんなことしてるんだよ」「あの首相じゃダメじゃね?」「あいつの行動は理解できないよな」等々第三者のことで腹を立てたり、悩んだりする人がいかに多いか、少し周囲の声に耳を傾けると自分と関係ない(自分ではどうすることもできない)人間関係で悩んでいる人が多いのに気付きます。

 昨今、子供が学業やスポーツで良い成績を取ることに、子供以上に親が執着して子供にプレッシャーを与える場面を多く見かけます。他人の批判をして悩んでいるのと、一見関係ないように思えますが、自分以外のことで喜んだり悩んだりということで、根っ子は一緒です。親に期待され過ぎると、子供は親を喜ばせようと勉強やスポーツに打ち込むようになります。思うような成績が出せて、親を喜ばせていられるうちは良いのですが、結果が出せなくて親が喜ばなくなると、自分の存在価値に意味が見出せなくなる子供が出てきます。本来ならば子供自身が、勉強やスポーツで良い成績を残すことにやりがいや喜びを見出して、自分が思うような成績を残せない場合には、自分で失敗した原因を考え、次に向かうバネに出来るようになるのが、子供にとっても親にとっても幸福な状態だと思います。

 人の中で生きている以上、他人の評価は気になります。でも他人の評価で自分の価値が上がったり下がったりするわけじゃないんです。ある方がこんなことを言ってみえました「獅子は謗られても獅子、豚は褒められても豚」だと。獅子(ライオン)は馬鹿にされても獅子の価値は下がらない、豚はどんなに絶賛されても豚の価値しかないということでしょう。あなたは自分の価値はどうやって上げますか?人それぞれに価値の上げ方は違うと思いますが、自己の評価を上げるということは決して楽に得られるものではありません。「楽して得られるものは、貧と恥のみ」という格言もありますから、自分に鞭打つ覚悟が必要です。

 自分に鞭打つのが苦手という方は、何か一つでもコツコツと続けられることを探してみて下さい。毎日でも毎週でも毎月でも、コツコツ続けることはそれだけで力になります。他人と変わっていても全く気にすることはありません。Google創業者ラリー・ペイジの言葉【「そんな馬鹿なことはできない」と誰もが思うことならば、競争相手はほとんどいない。】さすがに天才といわれる人は言うことが違いますね。他人の評価など屁でもないのだよと天才たちは口を揃えます。

 大事なのは他人がどう評価しようが、自分で悦に入れる何かを持つことです。自分の個性を大事にできる人は、他人の個性も大事に出来る人です。悩んでも仕方ない他人に目を向けて、ああでもないこうでもないと考える時間があったら、自分の内面に目を向けて自己満ネタを一杯作りましょう。他人や子供のことでくすぶっている原因は、実は自分自身にあったりします。