通信Vol.94(2012年3月)

 今年ももうじき春が来ると悠長に構えていたら、ビックリするほど雪が降って気分は冬に逆戻りです。でも待たされれば待たされるほど春が来たときの喜びも大きいのでしょうね。

 今回は5Sについて触れてみたいと思います。
 5Sについてはご存知の方も多いと思いますが、復習しておきます。①整理(せいり)②整頓(せいとん)③清掃(せいそう)④清潔(せいけつ)⑤躾(しつけ)のローマ字の頭文字をとって5つのSということなのですが、大手企業、特に製造業などでは厳しく教えられます。それは事故防止や不良品を未然に防ぐ為に必要といわれてきたからです。
 では、デスクワークや接客業には必要無いのかといいますと、そうではありません。どんな仕事においても、この5Sはとても大事です。でも何故5Sが大事なのかとなると、しっかり説明できる人は少ないと思います。その説明をする前に、仕事には「インプットの仕事」と「アウトプットの仕事」があるという話をしたいと思います。
 会社を一つのブラックボックスにたとえると、インプットをどんどん重ねていくと、あるときひょっこりアウトプットが生まれます。
「インプット」とはあいさつ、礼儀や、温かい言葉かけ、掃除、DMや営業、CM戦略等未来に向かって行う全ての業務、自己投資、自己啓発等、実績や売上げとはダイレクトにつながらない仕事です。それに対して「アウトプット」とは客先からの注文処理、販売、商品発送、納品配達等、目の前に迫ってくる仕事です。殆どが目に見える業務なので、こちらを大事にする人が殆どです。逆に「インプット」を大事にする人は冷やかに見られがちです。ダイレクトに売上げに繋がらないように見えるからでしょうが、大きな間違いです。
ハッキリ言いますが「インプット」無しに「アウトプット」は有り得ません。隠れた「インプット」があるから、目に見える「アウトプット」が生まれるのです。厳しい見方をすれば「インプット」=仕事、「アウトプット」=作業と言えそうです。「アウトプット」は、あくまでも「インプット」のバロメーターにすぎません。
勘の良い方ならもうお気付きでしょうが、5Sはこの「インプット」の仕事です。だからとても重要なのです。
会社を一つのブラックボックスとして見ると、自分がやろうとしている仕事が「インプット」なのか「アウトプット」なのか、しっかり自覚することが大切です。最初はどっちがどっちだか、混乱するかもしれませんが、今すぐやらなくても今日明日困らない仕事が「インプット」と覚えると良いでしょう。今やらないと、どんどん溜まって行くのが「アウトプット」の作業的な仕事の特徴です。
5S以外にも、立ち居振る舞いや言葉遣い、相手を思いやる気持ちも立派な「インプット」の仕事です。「インプット」の素晴らしい会社は、世の中にたくさんあります。その代表的なものが「東京ディズニーランド」であり「帝国ホテル」、「リッツカールトンホテル」等の感動を生むサービスを提供できる会社です。「感動を生むサービス」=「インプット」が素晴らしい企業には必ず素晴らしいファン、リピーターが居て、利益を生む体質が出来上がります。
同じことが私たち一人一人の人生にも言えるのではないでしょうか。自分のブラックボックスに「良いインプット」をしていれば、必ず「良いアウトプット」が出てくるし、「悪いインプット」をしていたら、誰も見ていなくても「悪いアウトプット」が必ず出てきます。
「良いインプット」をするか「悪いインプット」をするのかは、あなたの心一つで決まります。