通信Vol.95(2012年4月)

春が来るとワクワクする半面、新しいことが次から次へと起こって5月病なんてことにもなります。私は毎年5月病の常連なんですが、克服する方法はただ一つ「行動療法」という方法で、やる気が無くてもやる気のある振りをする、元気が出なくても元気な振りをするのです。心と行動はバラバラなんですが、そのうち心も行動につられて元気になってきます。

 今回は、世の中の殆どの事は自分の頭の中で起きているというお話をしたいと思います。あなたが日々感じている幸福感や不快感、満足感や失望感は、誰かが作り出してるものでなくて、自分の頭の中であなたが作り出しているものなのです。
 例えば、テレビで同じニュースを見ながら、悲しいと感じる人、怒りを感じる人、何も感じない人etc・・、様々です。人はそれぞれの立場で、物事を見て、聞いて、感じてますから、全く同じようには感じないのです。
 学校でいじめっ子が居て、自分ばかりがいじめられていると感じる子も居れば、イジメと感じない子も居ます。同じ歌手のコンサート会場にいて、ものすごく楽しい人も居れば、全然楽しくない人も居ます。口うるさい上司が居て、嫌だと感じる部下も居れば、それほど苦にならない部下も居ます。頼りない首相で、不安に思う国民も居れば、あまりあてにしていない国民も居ます。つまり、周りの事象や他人が自分を楽しくさせたり、悲しくさせたり、怒らせたりするのではなくて、自分がそのように周りの事象や他人に反応してしまっているのです。

つまりこういうことです。
「自分をふりまわす友人が居るのでなく、我儘な人を友人に持ち苦しむ自分が居るのです」
「自分を苦しめる暴力夫が居るのでなく、暴力夫に寄り添って苦しむ自分が居るのです」
「自分を楽しませる旅行があるのでなく、旅行に行って楽しむ自分が居るのです」
「自分を苦しめる仕事があるのでなく、そんな会社を選んで働き苦しむ自分が居るのです」
「公衆の面前で不愉快な行動をとる人が居るのでなく、他人の行動を見て不快に感じる自分が居るのです」
「不愉快なテレビ番組があるのでなく、そんなテレビ番組をわざわざ見て不快感を募らせる自分が居るのです」
「ワクワクするような仕事があるのでなく、仕事でワクワク出来る自分が居るのです」
「暖かい家庭があるのでなく、家庭に帰って団欒を感じる自分が居るのです」
「夢を見られる世の中があるのでなく、どんな世の中でも夢を見られる自分が居るのです」
「自分をときめかせる異性が居るのでなく、相手とフィーリングの合うところを見つけてときめく自分が居るのです」

世の中を楽しく生きるのも辛く生きるのも、決めるのは自分の心一つです。でも、心もちで楽しくならない事が世の中にたった一つだけあります。それは自分の死です。これだけはどんなに楽しくやり過ごそうとしても不可能でしょう。でもそれ以外の事は大方、心の持ち方一つでガラっと違う感じ方が出来ます。その為には、日常をちょっと飛び出して色んな人と出会ったり、色んな事を経験して自分の殻を破ることです。物事を広い視野で見ることです。東日本大震災で大きな社会的損害を及ぼした東京電力を批難する人は多いですが、自分の小遣いで、小口でも東電の株主になる人は少ないでしょう。株主になったら、全く違ったものの見え方が出来るはずです。頭の中で理屈をこねるよりも、自分が動いた時に何かを感じることがきっとあります。