通信Vol.120(2014年5月)

新緑が眩しい季節になってきましたね、山の色が変わると気分もウキウキしてきますね。
今回は、ご存じの方もあるかもしれませんが、ある寓話から気付きを得たいと思います。

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ある町の入り口に一人の老人が座っていた。そこに、よその町から一人の若者がやって来た。若者は老人に尋ねた。
「この町はどんな町ですか?どんな人たちが住んでいますか?」
老人は逆に問いかける「君はどんな町からやって来たのかね?」
「僕がいた町は、利己的で悪賢い人が多かった。安心して住めない、ひどい町でした」老人は穏やかに答える「この町も同じようなものじゃよ」
若者は疑いの目で老人を見ると、町に入っていった。そして間もなく、老人が言ったとおりの町であることを知った。

そのしばらく後、別の若者がやって来て、老人に尋ねた。
「この町はどんな町ですか?どんな人たちが住んでいますか?」
老人は同じように問いかける「君はどんな町からやって来たのかね?」
「僕がいた町は、やさしくて親切な人が多かった。とても住みやすい、素敵な町でした」「この町も同じようなものじゃよ」若者は老人にお辞儀をすると、町に入っていった。そして間もなく、老人が言ったとおりの町であることを知った。

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 この寓話は何を教えているのでしょうか?
 最初の若者は、以前住んでいた街を「ひどい町」と見ていました。そして新しく住み始めた町も「ひどい町」と感じたのです。
 二番目の若者は、以前住んでいた街を「素敵な町」と見ていて、引っ越してきた新しい町も「素敵な町」と感じたのです。
 この二人は同じ町に住んでいるのに感じ方が正反対です。二人の周囲の人達が違ったのでしょうか?いいえ、二人の周囲の人達に違いはありませんでした。

 自分が見ている世界観は、客観的な世界観ではありません。自分の色眼鏡で物事を見ています。友人や家族と一緒に食事や買い物をしていて、店員の対応などについてお互いにコメントしてみると全く違った感じ方をしているのに驚くことがあります。
 学校生活を楽しんでいる子どもにとって学校は「楽しい場所」ですが、クラスメイトからいじめを受けている子どもにとって学校は「苦しい場所」に違いありません。
仕事が思い通りに進んで順調な時、会社は楽しい場所ですが、問題にぶち当たったり人間関係に悩んでいる時は、苦しい場所です。
同じ人を見ていても、ある人は「明るい人」と見たり、別の人は「脳天気な人」と見ていたり、「キャピキャピしててムカつく」となったりします。
ここに幸せ感のヒントがあります。世界や他人を変えることは難しいけど、自分は今この時から変われます。どんな色眼鏡で世界を見るかで幸せな人生を送るのか、不幸な人生を送るのかが決まってきます。
では、どうしたら素敵な色眼鏡で世の中を見られるのでしょうか?続きは次回お話ししたいと思います。