通信Vol.122(2014年7月)

ムッとするような暑さと蝉の声が夏を感じさせます。私は初夏が好きです。新緑と青空と白い雲が子供の頃の夏休みを思い出させて、甘酸っぱい記憶がよみがえってきます。

今回は、最近読んだ本から歴史にまつわるエピソードをご紹介したいと思います。誰もが知っている歴史上の人物、豊臣秀吉徳川家康のお話です。

ある日、関白・秀吉が諸大名の前で
「わしは、天下の有名な宝を、ほとんど集めた」
と言って、指を折りながら刀や茶碗の名を挙げ、自慢を始めた。
 やがて、徳川家康に向かって
「そなたの、秘蔵の宝物は何か」
と問いかけた。
 家康の答えは意外だった。
「ご存知のように、私は三河の片田舎で育った武骨者ですから、珍しい宝物は持っておりません。
 ただし、私のためならば、火の中、水の中へも飛び込み、命懸けで働いてくれる部下を五百人ほど持っております。この五百人を召連れると、日本中に恐ろしい敵はありませんので、この部下たちを第一の宝と思って、平生、秘蔵しております」
さすがの秀吉も、顔を赤らめて、一言も返事ができなかったという。

 秀吉と家康の考え方の違いをハッキリ表すエピソードである。
 これはそのまま、二代めで滅びた豊臣家と、三百年も続いた徳川幕府の違いとなって、歴史に刻まれているようだ。     (こころの朝/木村耕一編著 一万年堂出版)

 少し珍しい物を持つと自慢したくなるのが人間の性ではあるけれど、本当に大切なのは無形の宝なのかも知れませんね。家族であったり、周囲の人であったり、お客さんであったり、体験であったり、知識であったり・・・etc

 また、目に見えるものにはお金をかけられますが、目に見えないものにお金を使うのは惜しいものです。旅行に行ったり、ブランド物のバッグや洋服にはお金をかけられますが、習い事や自己啓発セミナーに出すお金は惜しく感じる人もいます。物にかけるお金は目に見えるから、自分の自己顕示欲を満たすには手っ取り早い使い方ですが、すぐにお金の価値は目減りしていきます。旅行に行っても楽しいのは一時だけで、楽しい思い出も日にちが経てば色あせていきます。無理して買ったブランドバッグも使っているうちにアチコチ擦れてみすぼらしくなってきます。でも習い事で身に付けたことや、セミナーで学んだことは一生自分を磨き続けたり、誰かに教えることによって他人も幸せにすることができますからお金にどんどん利子が付いて資産が増えるようなものです。
 
 何が本当に価値のある事なのかを見極め、何に投資をするかによって未来は大きく違ってきます。
 あなたにとってお金を使う価値のあるものは何ですか?