通信Vol.129(2015年2月)

今年は雪の話題でもちきりですが、屋根に積もった雪も、重い割には緩いようで屋根から落ちて怪我をする人が急増しているらしいです。皆さんもどうぞお気をつけ下さい。

 今回は「徳」ということについて、お話ししたいと思います。「徳」って分かりにくいですよね、目に見えないし基準も曖昧です。目に見えないから存在しないのか?というとそんなことはありません。人徳のある人、ない人というのは確かにあります。
 人と徳を譬えるならば、「人」は預金通帳、「徳」は通帳の預金残高といったところでしょうか。着飾ったり高価な洋服、装飾品で身を飾るのは、ちょうど預金通帳に金箔を貼ったりデコレーションをして見た目を良くしている状態です。もちろん着飾ったりして見た目を良くすることは悪いことではありません。でももっと大事なのは通帳の命ともいえる預金残高です。私たちが日々で必死になってかき集めているお金も、貯金通帳の外装をきらびやかにする装飾の一つです。いくら金ぴかな通帳でも残高が数百円ではみじめです。逆に見た目は手あかで汚れていても残高が一億円だったら価値のある通帳です。
 では、この大事な人生預金の通帳の残高を増やすにはどうしたら良いのでしょうか?先人達が教えるように他人の嫌がる汚れ仕事をやる、人に親切にする、困っている人を助ける、世の為他人の為になること(ボランティア)をする、感謝する、褒める、他人を喜ばせるといった「善」と言われることをやることでしょう。逆に残高を減らすこととは、他人を苦しめる、与えずに取る、社会に悪影響を及ぼす、悪口を言う、愚痴を言う、怒る、嘘をつくといった「悪い行為」だといわれます。
 預金残高を減らさないように気をつけて、少しでも預金残高が増える良いことを重ねると、一気に残高は増えませんが、コツコツ積み重ねることによっていつの間にか大きな金額になってきます。この人生預金は通帳の額面が多くなると、お金に利子が付くように色んな幸福がくっついてきます。人に恵まれたり、お金に恵まれたりするようになります。実のあるお金や人はこの徳に引き寄せられて集まってくるようなものだとも言えます。
 世界一貧しい大統領として有名な南米ウルグアイの大統領ホセ・ムヒカさんは「貧乏な人とは、少ししかものを持っていない人ではなく、無限の欲があり、いくらあっても満足しない人のことだ」と言っています。先程の預金通帳の譬えでいうならば、預金通帳の外見ばかりを飾って預金を使い果たすような生き方をしている人は貧しい人と明言しています。
 実際の預金や財産が沢山あるのに、不安で人生を楽しめていない人を見るたびにホセ・ムヒカ大統領の言葉を思い出します。人生の最後で振り返った時に自分はどんな人生を刻んでいたいと思いますか?