通信Vol.151(2016年12月)

 いよいよ冬らしくなってきましたね。皆さんのお宅では、冬支度はもうお済みですか?
去年雪が少なかった分、今年は念入りに雪囲いも済ませましたが、さて今年はどんな冬になるんでしょうか?

 今回は「自己啓発の罠」と題してお話ししたいと思います。
 自己啓発と聞いて私が真っ先に思い浮かべるのは「心理学」です。数年前、名古屋での心理学講座に3カ月間、毎週通っていました。今まで聞いたこともない事を学ぶのは新鮮でしたし、自分の心の中が少しずつ整理されていくのが楽しかった記憶があります。
心理学以外にも、モチベーションを上げたり、資格を取ったり、自分のスキルアップのための研修をうけたり、本を読んだりと自己啓発の仕方は人それぞれです。

自己啓発をする意味について少し考えてみたいと思います。
「自分自身を苦しめているのは、あなたがその手に持っているものさしだ」といった人がありましたが、自己啓発をすることによって、一つしか持っていなかったものさしを2つ3つと数を増やすことによって知識の幅を広げたり、理解できなかったものが理解できるようになることだと思います。
 譬えるならば、今までは「30センチものさし」一つで川原の石(他人)のサイズを測ってまわっていたようなものです。ところが川の上流に行くほど石は大きくなり、やがて大きな岩が現れます。「30センチものさし」では測りきれなくなります。そこで自己啓発で新しく長いものさしを手に入れます。手に入れたものさしで今まで大きくて測れなかった川原の石(他人)を、あれは90センチこれは1メートル50センチと計測するようなものです。
最初は今まで測れなかった石が測れるようになって楽しいのですが、段々石のサイズを測るのが使命みたいになってきて、石のサイズが気になってしかたなくなります。私の場合がそうでした。あの言動の奥にはこんな心理が隠されているとか、あの人の育った環境はこうなんだろうなとか、考えなくていいことまで考えて疲れてしまいます。まさに新たに手に入れたものさしによって新たな苦しみを作り出していたのです。先ほどの言葉を思い出してください。

「自分自身を苦しめているのは、あなたがその手に持っているものさしだ」

そうです、私を罠におとしいれたのは「新しく手に入れたものさし」だったのです。
すでに新しく大きなものさしは手に入れたわけですから、出すべき時に出して計測すればいいのです。四六時中計測する必要はありません。川原に立って大小様々な石のあることを眺めながらボーっとすることが必要なんだと知りました。石の大きさを測ったところで石は大きくも小さくもなりませんから。
時にはものさしを手離して、手ぶらになることも大切なんですね