通信Vol.152(2017年1月)

今年はいつになく暖かい正月でいささか拍子抜けしましたが、スキー場や除雪を仕事にしている人達からは悲鳴が聞こえてきそうです。降るべき時に降るべきものが降らないと夏場の水不足も心配ですね。
 今回はロボットに仕事を取られない為のお話をしたいと思います。自動車が自動運転になったりAI(人工知能)家電が進化したりすると人間の手間がどんどんなくなる上に人間の働き口まで奪われそうな勢いです。三菱総合研究所の試算ではAI技術が社会に普及すると、雇用者数が240万人減ると発表しています。AIが普及していなくても、以前は高額所得資格と言われていた弁護士や歯科医師が資格者増加により一般のサラリーマン並みの給与になってきています。東大医科学研究所が導入したAI(通称ワトソン)が、白血病患者の特殊なタイプの遺伝子を10分で見つけ、治療に役立ったという事例もあり、医師でさえ失業する可能性があります。
 私は就職に携わっている立場上、色んな人から「どんな資格をとれば安定収入が得られますか?」という質問を受けますが、私は決まって「そんな資格はありません」と答えます。将来、誰からも必要と思われるか、ロボットに交代してもらっても良いと思われるかは、その人の働き方によると思うからです。それは「仕事」と「作業」の違いといっても良いと思います。「仕事」と「作業」の違いを明確にしてみたいと思います。


仕  事
・給料以上の対価を会社に提供する
・決められた仕事以外に自分で仕事をつくる
・勤務時間に縛られない(何時でもどこでも仕事をする)
・誰かの為に働く(社会貢献)
・自分が楽しんで働く
・周囲の人とコミュニケーションをとって他人のフォローをする
・自分の頭で考える
作  業
・給料分の仕事をきっちりこなす
・決められた仕事をきっちりこなす
・勤務時間はきっちり働く
・自分の余暇を楽しみに働く
・我慢して働く
・自分の仕事だけをきっちりこなす
・上司の指示を待つ


きっちりと決められた時間内に決められた作業をすることは悪いことではないし、世の中の殆どの人が作業をこなす労働者であるといっても良いでしょう。労働者は法律で守られるし、それなりの給与を手にすることもできるでしょう。しかしそれは社会経済が安定していて、社会保障基盤があるという大前提です。
 冒頭に述べたようにAIの普及や労働者人口のバランスが崩れた時、いままで働き口に困らなかった人達がハローワークに押し掛けて、就職先を奪い合う時代が来たとしても競争に負けない、企業がこぞって欲しがる人材、高い給料を払っても確保したい人財は、「作業をする労働者」でなく「仕事をする仕事人」であるといえます。
 そうはいっても毎日同じ作業をこなす職業の人はどうすればいいのか?といった声も聞こえてきそうですが、業務改善であるとか、新たなアイデアを出すとか、他人のフォローをするとか、いまの職場で出来そうなことは色々あります。現在「仕事」をしている人はどんな職種であっても未来が明るいのです。