通信Vol.172(2018年9月)

今年の夏は高校野球に釘付けになった人も多いのではないでしょうか。
大阪桐蔭高校の根尾くん(飛騨市宮川町出身)の活躍に心踊った人も多いでしょう。彼の活躍の凄さと同時に彼のメンタルの安定感に感心した人も多かったのではないでしょうか?

今回は彼の言動からメンタルを安定させるコツを学んでみたいと思います。
根尾君は周囲の人から褒められると、周囲の仲間や、自分を育ててくれた人、対戦相手を称賛します。多くの人は自分がいかに頑張ったかをアピールしたくなるのですが、自分の話はほとんどしません。
他人から褒められたり、自分が恵まれていると感じたら意識の矢印を周りに向け感謝するというのは一見簡単に見えますが、中々出来ません。
 逆に、他人から嫌な圧力を受けたら、自分を高めるように自分に意識の矢印を向けてみます。自分が他人と比べて、恵まれていないと感じて惨めな気持ちになったら、自分が恵まれている材料を探して自分も負けないくらい恵まれている事に気付くと気持ちが落ち着きます。

 ほとんどの人が真逆のことをやっています。他人から褒められたり、恵まれた環境になると自分は出来る人だ!凄いラッキーだと有頂天になり、他人から貶(けな)されたり、自分より恵まれている人、ズルをして楽をしている人を見るとその人をトコトンおとしめたり、不満をブチまける。傷ついた自分の気持ちのケアをそっちのけで、自分を傷つけた相手の悪口を並べ立てます。誰でもやっているこの行為が実は自分のメンタルを不安定にさせている元凶なのです。
他人に褒められたり、恵まれた環境というのは、実は周囲の人の助けによることが多いのです。根尾君のように能力の高い人程、謙虚に自分の能力を見つめています。なぜ有頂天になるとメンタルが不安定になるのかというと、ちょうどジャングルジムのてっぺんにのぼると、気持ちよさと同時に不安定さからくる怖さを感じます。上を見ながらがむしゃらに上っているときは、不安感というのはありません。謙虚さというのは、まだまだ上があると思ってのぼっている状態です。だから不安感が少ないのです。だから順調な時ほど意識の矢印を外に向け、謙虚になる必要があるのです。
反対に他人から貶(けな)されたり、責められたときに自分を貶(けな)した相手、責めた相手の悪口を友人や家族に何時間もかけて話す人がいますが、私たちの脳は嫌な記憶を何度も思い出す度に、より強固な記憶となって脳に焼き付けられていきます。嫌な記憶はさっさと捨てて忘れてしまうのが一番です。おまけに人の悪口というのは自分で発する言葉が自分の耳に入って来ます。私たちの脳は嫌な言葉を聞くとストレスが溜まる構造になっていて、他人の言葉でも自分の言葉でも関係なくストレスを感じます。自分が落ちていると感じた時ほど、意識の矢印を他人ではなく自分に向けて「自分は頑張っている」「自分は恵まれている」と自分を持ち上げるほうに持って行ったほうがメンタルは安定します。
 安定したメンタルで日々過ごしたいものですね。