通信Vol.40(2007年9月)

今年の夏は、異常に暑かったですね。まだまだ暑い日が続いているんですが、暦のうえではもう秋ですね。扇風機を片付けたと思ったら、コタツの心配をしなくてはいけないのですが・・・本当に飛騨の夏は短いですね。

 今回は良い人間関係を築く為に必要なことをお話したいと思います。仕事場や家庭、友人関係において役立つこともあると思います。
 
 本題に入る前に、アメリカの心理学者で人間性心理学の生みの親と言われるマズローの説く人間の欲求の5段階について話す必要がありますが、詳しい話しは又の機会にして、マズローの唱える人間の欲求のうち特に重要なのが承認欲求といわれるものです。他人に認めてもらいたいという欲求で自分で努力しても他人が認めてくれなければ、この欲求を満たすことができません。つまり他人に依存する欲求なので重要なのです。
 
 逆から見ると、相手の承認欲求を満たしてあげることが大切になるということです。
 どうすれば家族や友人、同僚、上司の承認欲求を満たすことが出来るのでしょう。承認欲求とは相手を認めると書きますが、わかりやすく言うと相手に感謝するということです。「あなたがいてくれたおかげで助かった」「生きててくれてありがとう」「○○してくれて嬉しかった」という言葉をかけるということです。
 相手を褒めるのと似ていますが、根本的に違うのは対等の立場に立っているということです。人を褒める場合は自分が上に立って相手を評価して「すごいねー」「頑張ったねー」と言うわけです。小学生が大人に向かって「頑張ったね」とは言いませんよね。相手が自分より下だと思わないと出てこない言葉です。
相手に感謝する言葉は、対等の立場で「ありがとう」「君がいてくれて助かった」「あなたのおかげ」「感謝しているよ」「○○してくれて嬉しかった」と言いますから、大人から子供、子供から大人、どちらでも通じます。

 この承認欲求が満たされないとどうなるか、定年退職したある男性の例をあげてみましょう。子供たちは皆成人して、結婚したり、社会生活を営んで立派に自立しています。妻は自分の趣味を通じての友人たちと旅行に行ったり、毎日充実した生活を送っています。
男性は、自分を必要としてくれる人を探しましたが、どこにも見つけられず、ついには自分の命を絶ってしまったという実話があります。
 
 我が家では、子供がスポーツや習い事で競技会、発表会という時には「いい成績取らなくて良いから、楽しんどいで」というメッセージを伝えることにしています。そりゃ親ですから、他人よりいい成績を残してくれるにこしたことはありませんが「たとえいい成績を残せなくても、生きててくれているだけで嬉しい」というメッセージを伝えるようにしたいのです。ちょっと臭いメッセージのように聞こえるかもしれませんが、子供たちが、たとえ勉強やスポーツが出来なくて絶望しても、社会に出て色んな障害にぶつかって生きることに絶望しかかっても「生きているだけで嬉しい」という僕のメッセージは、僕がこの世からいなくなっても、彼女たちの心に生き続けて「どんな状態でもいいから生き続けてくれ」というメッセージになると思います。

 自分がして欲しいこと、言って欲しいことを周りの人にしてあげたり、言ってあげたりすることでよりよい人間関係を築けるのではないでしょうか。