通信Vol.62(2009年7月)

 昨年と比べると今年は梅雨らしい梅雨ですね。雨も自然界では必要ですが、個人的には抜けるような青空が恋しいです。

 今回は「自己責任」ということについてお話ししたいと思います。自己責任というと硬く聞こえますが、要は「責任の所在を明らかにする」ということです。
 誰でも「こんなはずじゃなかった」と他人を責めたくなる場面があります。自分で思い描いていた結果と違ったということだと思うのですが「こんなはず」と決めたのは相手でしょうか?自分でしょうか?

 ここに、付き合い始めて1ヵ月の初々しいカップルがいます。3日前にデートの約束をして土曜日の昼12時に駅前で待ち合わせをしました。彼女の方は15分前に到着して彼氏を待ちます。ところが約束の時間を過ぎても彼氏は現れません10分経ち20分経ち、電話もメールも応答がありません。業を煮やして彼氏の家に行ってみると、二日酔いで寝ぼけた顔で彼氏が出てきました。「ごめん、ゆうべ飲みすぎて寝坊した」こんな時です相手を責めたくなるのは、「いったいどういうつもりなの!?約束したでしょうが!!!%$#×○▽・・・・」
でもちょっと待って下さい。本当に自分に落ち度は無いのでしょうか?
 3日前から当日の約束の時間まで、約束の確認やデートの行き先など電話やメールで相談していれば前日に呑みすぎることは無かったかもしれません。当日の朝、電話でモーニングコールをかけて確認していれば、約束は果たされていたかもしれません。もっと言えばそんなルーズな相手を彼氏として選んでしまったのは自分自身なのです。夫や妻の悪口を言ってみても、そんな相手を配偶者として選んだのは自分です。会社や上司の悪口を言ってみても、そんな会社を選んで就職したのは自分自身です。嫌いな相手、文句を言わないといられない相手と今日も顔を合わせることに決めているのは自分の心です。そこで相手と別れる、遠ざかる、辞めるという決断をした結果、その後自分が苦しむことになったとしても、やはり自分の責任です。どうあがいても自己責任からは逃れられないことになっているようです。

 かといって「理不尽なことをされて相手に何も言わないのは釈然としない」というのであれば、怒りの前に生まれているはずの「時間に来ないけどどうしたのかな?」「事故にでもあったのかな?」という感情(不安や心配)を後から出てきた感情(怒り)よりも先に伝えるべきです。いきなり怒り出す人は異常な性格の持ち主です(笑)。怒りの前に「失望感」や、「悲しみ」、「自分の思い通りに事が運ばなくて残念」という思いが必ずあるはずです。それを第一感情といいますが、自分の第一感情に気づかず、第二感情である怒りに心を占拠されているだけなのです。第二感情ばかりを相手にぶつけても、心は動かせません。
 自分自身を振り返って、自己責任を棚に上げて他人ばかりを責め立てるのは大人気ないと思うのです。僕も感情に流されてカッと腹が立つことも月に一度や二度ではありません。しかし、そんな時に「この怒りの原因はどこから来るのかな?」と自分の心を突き詰めてみると、100%自分に原因があるのがわかります。腹が立つ=自分の責任転嫁と言ってもよいと思います。面白いことに自分に責任が無いことでは人は殆ど腹が立ちません。隣家の夫婦喧嘩を見たり、自分と関係のない隣の会社がつぶれたとしても、腹は立たないでしょう?

 何事にも自己責任を取れる人はカッコいい大人です。逆に自己責任から逃げて他人の悪口ばかりを言う人は子供っぽく見えてしまいます。一朝一夕には変われないかもしれませんが、今年の自分が去年と同じ自分で進歩がなかったら寂しいです。
いつまでも元気ハツラツで魅力的な人で居る為にも、他人を責めないで、自分の人生にしっかり責任を持って生きたいものです。