通信Vol.186(2019年11月)

 長い夏も終わったと思ったら、もう冬支度です。本当に飛騨の秋は短いです。皆さんは冬の備えはお済みですか?

 今回は、自分軸と他人軸ということについてお話ししたいと思います。
 飛騨地区の小中高校から集めた、あったかい言葉かけ運動カレンダーというのがあるのですが、その中の一文を紹介したいと思います。

『僕の友達はとても恰好いい。登下校途中、僕は挨拶をしない。しても返してもらえないことがあるから。でも、僕の友達は必ず挨拶をする。そんな友達に、「どうして返してもらえないのに、挨拶するの?」と聞くと、「いやー、もう癖になっているから」と、彼は笑いながら応えた。なんだか彼が恰好よく見えた。彼の笑顔は底なしだ。(高校2年生)』
 高校生の男の子のやり取りに、幸せのヒントが隠されている気がします。

相手が挨拶をしてくれるから、自分も挨拶する。相手がツンケンしているから、自分もツンケンした態度で接する。夫(妻)が褒めてくれないから自分も夫(妻)を褒めない。という考え方は他人軸の考え方です。相手にどう思われるか、どう見られるかを気にして他人の機嫌で自分の心の状態が決まってしまう人です。対して自分軸の考え方というのは、他人の機嫌に左右されずに自分の気持ちに従う考え方です。自分が良いと思うからやる、自分が気持ちいいから親切をするということです。結果として外的要素に左右されませんから、機嫌の良い状態が続きます。
自分の思考の癖が他人軸なのか自分軸なのかよくわからない、という人もいると思います。レストランやショップで店員の態度が気に入らなくて気分を害する人は、他人軸のウェイトが大きい人です。他人にほめられたりおだてられたりして有頂天になるのも同じく他人軸の考え方です。どんなに外的要因が自分に不都合な状態であっても、自分で自分の機嫌をとれる人は自分軸のウェイトが大きい人です。
他人に悪口を言われて自分の評価が下がったり、ほめられて自分の評価が上がったと考えるのが他人軸の考え方、他人に悪口を言われても褒められても他人の評価で自分の価値は変わらないと考えるのが自分軸の考え方です。

 どちらの考え方をするのも個人の自由ですが、個人的には自分軸で生きた方が幸せ感が強くなるような気がします。他人の評価というのは相手の都合によってコロコロかわります。人は自分にとって都合の良い人は褒めるし、自分にとって都合の悪い人は批判しますから、絶対的な評価ではないはずです。自分がまったく変わらなくても、相手からの評価が昨日と今日で真逆なんてことは良くあることです。相手の心の健康状態によって自分が一喜一憂するなんて馬鹿げていると思いませんか?
 冒頭の高校生のような考え方をいきなり身につけるのは難しいかもしれませんが、今の思考が他人軸なのか自分軸なのか、ちょっと立ち止まって考えてみませんか?