通信Vol.71(2010年4月)

 ようやく梅の花もほころんで、桜の咲くのを今か今かと待ちわびている今日この頃です。皆さんがこの通信を手にしている頃には程よく開花しているかもしれませんね。
 
 今回は「自分の領域」「相手の領域」ということについてお話したいと思います。

 こんな会話を耳にすることがあります「あの人はだらし無くて本当に嫌になっちゃう、机の周りや着ているものまでだらし無くて本当に嫌!」「あの人はなんであんなに仕事が遅いの?一体私の何倍かかってやっているの!」「うちの子はどうしてあんなに勉強しないんだろう」どれも自分ではどうしようもない他人の話ばかりです。他人の領域に首を突っ込んで自分が勝手に悩んでいるだけです。

 世間にあふれている愚痴話は殆どが他人の領域に首を突っ込んで「ああでもない」「こうでもない」と悩んでいるだけなのです。だから愚痴(おろかであほう)と言われるのです。

 もっと細かく言うと「相手の領域」に「自分の領域」をねじ込もうとしているのです。相手を自分の思い通りにしたいという感情です。もし逆の立場だったらどうでしょうか?「どうしてこんなことも出来ないの?」「どうしてさっさと宿題をやらないの?」と言われて気持ちよいでしょうか?

では相手は絶対に変えることが出来ないのかというと、話し方次第で相手の行動が変わることもあります。それには条件が三つあります。
一つには相手に対して愛情があること。愛情とは男女の愛欲のことではなくて、相手に本当に幸せになって欲しいという気持ちです。
 二つ目には、もし相手が変わらないとしてもそれはそれで仕方ない、その人の個性だという割り切りの気持ちを持つこと。相手のことを尊重しなければ出てこない心です。
 三つ目には、相手がどうすべきかではなくて「私」がどうして欲しいかを伝えることです。これが一番大事です。他人から「あなたはこうすべき」と言われて素直に聞ける人を私は見たことがありません。「自分はこうして欲しいけれど、今後どうするかはあなたに委ねます」と言われると、大概の人は色々考えます。自分のプライドと相談したり、意見してくれた相手の言葉を反芻したり、それで最終的に変わるか変わらないかを決めるのは自分です。他人が何を言っても変わらない事も多々あるのです。

 こころにひっかかっている問題があるとしたら「自分の領域」なのか「他人の領域」なのかをよくよく考えてみることが大切です。もしかしたら自分と関係ないところのことで悩んでいるのかもしれません。
 その判断がつかない人の為に、私のとっておきの悩み解決法をお教えします。相手にこのことを言うのが相手の為になるか、否かで悩んだときに「世界があと1週間で滅ぶとしたら」と自分に問いかけてみるのです。自分の人生の限られた時間の中でそれでも相手に言っておいたほうが良いことは断固言うべきですし、それよりも他にやることがあると思ったら言うべきではないのでしょう。


 大切なのは相手をどう変えるかではなくて、自分がどう行動するかです。


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