通信Vol.80(2011年1月)

 新しい年が明けて、色々な決意を新たにされた人もいらっしゃるかと思います。本年もかわらず月一ペースで通信を発信していきたいと思いますので、どうぞ宜しくお願い致します。

 突然ですが、私たちは人間です。何を今更言いだすのかと思われるかもしれませんが、生物学上の「ヒト」でなく人間としての自分について考えてみたいと思います。

 人間にあって動物にないものって何だと思いますか?
色々あると思いますが、先日我が家のワンコと遊びながら気付いたことを上げてみたいと思います。犬は飼い主に誉められる為に「オスワリ」をしたり「マテ」や「フセ」を覚えます。飼い主の言うことを聞くと飼い主が喜ぶからではなくて、飼い主に誉めてもらえるからなのです。つまり犬は自分中心で物事を考え、「自分がエサをもらえる」「自分が誉められる「自分が叱られない」といった基準で行動し、相手を喜ばそうなどということは考えていないらしいのです。

 つまり誰かを喜ばす為に行動が出来るのは、人間だけということです。もっとも、知能の高度な哺乳類には人間に似た行動をするものもあるかもしれませんが、身近な犬や猫と比べて人間が大きく異なる点だと思います。

 他人を喜ばせることって、とても良いことだとわかっていて、なかなか出来ないんですよね。食事の準備や片づけを手伝えば、嫁さんが喜ぶと分かっていてもついつい甘えて、まかせっきりにしたり、親孝行になるとわかっていても親に優しい言葉を掛けてあげられなかったり、特に近しい人達を喜ばせることってとても大切だと思います。

 最近テレビでちょっとした話題になっているのが「タイガーマスクの主人公、伊達直人を名乗る善意の輪」です。色んな人が「伊達直人」を名乗って、児童養護施設などにランドセルやお金などを寄付しています。他人の喜ぶ姿を見て、自分が喜べるって本当に素晴らしいことだと思います。

 人間にあって動物にないもの、その2。
 他人の良い行いを見て、自分も真似をすること。犬は他の犬がやっているのをみて「オスワリ」をしたり、「フセ」をすることがありません。犬が他の犬をリスペクトして真似したという話は聞いたことがありません。
「あんな人になりたい」「あんな素敵なことなら真似をしたい」と思えるのも人間特有のものです。タイガーマスク運動(?)や献血、骨髄ドナーなど善意の連鎖で人助けが出来るのも、人間ならではのことです。

 これらのことをやってみて、初めて人間固有の喜びが得られるといっても良いと思います。つまり「美味しいもの食べた」「惚れた」「儲かった」「気持ちよかった」「欲しいものが手に入った」という喜びと「他人を喜ばせた」「皆で一緒になって他人を喜ばせた」ということから得られるよろこびではよろこびの質も、得られるものもレベルが違うのです。

 この他人の喜びを自分の喜びとして感じとる“心センサー”こそが幸福のカギだと思うのですが皆さんはどう思いますか?