通信Vol.181(2019年6月)

 いよいよ飛騨も梅雨入りしました。梅雨はじとじと蒸し暑くて好きではないのですが、この時期に雨が降らないと夏場に水不足になったりと色々大変ですよね。梅雨になると庭の雑草の伸びが一気に加速するので、週末の仕事が増えそうです。
 今回は、「傾聴」と題してお話ししたいと思います。傾聴とは目の前の相手の話に耳を傾けるということです。他人とのコミュニケーションスキルの殆どはこの「傾聴力」といっても過言ではありません。

傾聴に大切なことは①笑顔②相手の目を見る③相づち④話の内容に言及する⑤沈黙を恐れるな、の5つだと思います。
①は笑顔です。ムスッとした顔、無表情の相手には心を開いて話そうと思わないでしょう。笑顔で接するだけで、相手が心の扉を開く第一歩と言えます。仏教では和顔悦色施(わげんえつじきせ)といって、優しい顔で微笑みかけるだけで布施(親切)になると言われます。
②は相手の目を見る、です。目を見るといっても、目をそらさずに相手の目を見続けたら相手に威圧感を与えてしまいます。基本は相手の鼻のあたりをぼんやりと見ながら、ときおり目を見て目線を合わせるのが良いでしょう。
③は相づち、です。細かく常に頷いていてはせわしない感じになってしまいますので、相手の顔を見ながらときおり、頷きます。頷き方も話の内容に合わせて大きく頷いたり、小さく頷いたりしてメリハリをつけた方が良いでしょう。
④は話の内容に言及する、です。話の内容に言及するというのは、相手が昨日買い物をした話をしている時は、どこのお店に行ったのか、どんな雰囲気のお店なのか、どんな物を買ったのか、それを買ってどんな気持ちになったのか、等々相手が聞いて欲しい内容について質問をするということです。①~⑤の中でも④が一番大切です。何故なら①②③⑤は形だけ気を付ければそれなりに振舞えますが、④は頭を使って相手が何を話したいのかに集中しないと、話の内容に言及することが出来ないからです。子供の話や孫の話をされる方ならば、子供や孫のことに興味をもって話しに触れないと、相手は聞いてもらっている気がしません。よくありがちなのは「そうそう、私なんかね・・・」と自分の話を始めたり「それはかわいそうじゃない、もっとかまってあげないと・・・」などとアドバイスを始めるケースです。話したい人は、自分の話を聞いて欲しいのであって、他人の体験談をかぶせられたり、アドバイスを受けると、自分の話を聞いてもらえなかったと感じ、消化不良をおこします。相手の気持ちになって、何を聞いて欲しいのかを感じる必要があります。もう一つやってしまいがちなのは「どうしてそう思ったの?」「どうしてそんなことをするの?」「なぜ?」「どうして?」と質問攻めにしてしまうことです。相手を取り調べしているように伝わってしまいます。人は言葉で伝えることも大事ですが、心で思っていることが漏れ伝わるものです。相手をいつくしむ気持ちがあれば、言葉が下手でも伝わりますし、どんなに言葉を飾っても心の中で見下していれば、それも伝わります。
 最後の⑤は沈黙を恐れるな、です。会話が途切れて沈黙になるのを恐れてついつい、次から次ぎへと話題を繰り出しがちですが、沈黙は会話を熟成させる重要な「間」です。沈黙を恐れずに、相手と呼吸を合わせてみましょう。
 「傾聴」を身に着ければ人との距離も縮まり、信頼関係がより強くなることでしょう。