通信Vol.190(2020年3月)

 世間はコロナ騒動一色になっていますが、コロナ対策の手洗い、うがい、マスク着用の効果で今年はインフルエンザの患者が例年と比べて劇的に少ないらしいです。改めて感染症予防対策がいかに大事か知らされました。

今回はバイアスということについてお話ししたいと思います。バイアスと聞いて手芸用品のバイアステープを思い出す人もいるかもしれませんね。心理学用語でバイアスとは偏った見方とか先入観、思い込みといった意味で使われます。

テレビのニュースやインターネットの情報を受け取るときに、この人が言うなら間違いないというバイアスがかかると正しい受け取り方が出来なくなってしまいます。
大好きな人が出来ると、恋愛バイアスがかかって、欠点が欠点と見えなくなってしまいます。俗にいう「あばたもえくぼ」状態ですね。
医師や看護師さんが病気について話すと説得力がありますが、素人はそれを聞いて正しいに違いないというバイアスがかかってしまいます。
災害時や今回の病気が流行したときなど、色んな情報がテレビや新聞、インターネット上にあふれています。一方では人類の危機のように言う人もいれば、もう一方では、ただの風邪だという人もいます。
どのように行動したらいいのか迷ってしまいますが、そこで自分が様々なバイアスにとらわれて考え方、見方が偏ってしまう可能性があるということを知るだけでも様々な防衛になります。

もちろんある程度他人の言うことを信じなければ、世の中は生きにくいし、他人からは猜疑心の強い人と思われてしまいます。

一番怖いのは自分は絶対に正しいとか、〇〇の言っていることは正しいと思い込むことです。戦時下では、天皇陛下の言葉に間違いはないというバイアスが多くの国民にあり、多くの命を落とす惨事となりました。飛行機事故の原因は機体トラブルか、パイロットの認知バイアスによって引き起されるというデータもあります。自分の過去の経験から、こんなはずはないという経験バイアスや、これだけお金をかけたのだから効果が無いはずはない(効果がないと困る)という費用投下バイアス等々、バイアスの種類は様々です。

物事がうまくいかないとき、自分の中にバイアスがかかっていないか疑ってみる必要があります。バイアスが自分に対して心のブレーキになっていることも多いですから。