通信Vol.202(2021年3月)

 

 デスクに座って眺める景色から雪がなくなり、春の訪れを感じる今日この頃です。

 

 今回は先日車を車検に出したときに、車検のコバック高山西之一色店の社長奥様から伺ったお話を共有したいと思います。

朝、車を預けるのですが、書類の受付から車両の修理必要箇所のチェック、交換部品やオプションを含めた車検費用の見積り、代車を借りて店を出るまでの時間がトータル15分と超スピーディーなお店です。

夕方、車の引き取りに行った時に、入り口横に立っているウェルカムボードに書かれているお客さんの名前に目が留まりました。ボードには20名ほどの名前が書いてありました。対応してくれた社長の奥さんに「ウェルカムボードの名前って1日分ですか?」と尋ねると「1日分です。車検だけじゃなく一般整備も含めてですけどね。」との答えが返ってきました。驚いて「すごいですね、やっぱり忙しい人は仕事が速いんですね。」と返すと「これでもだいぶん処理スピードは速くなったんですが、最初の頃は9時とか10時まで掛かっていました。」とのこと。仕事が速くなった秘訣を尋ねると「色々アドバイスをされても、自分のやり方が正しいと思ってやり方を変えなかった時は、仕事が中々時間内に終わらなかったんですが、アドバイスを素直に聞いてその通りにやり始めてから仕事が速くなったんです。自分が持っているもの(培ってきたもの)を手放すのって中々大変でした。」と笑って話してくださいました。

それを聞いた途端「ボトッ」と目からウロコの落ちる音がしました。どうしても「自分は正しい」「このやり方で間違いない」と「自分が」「俺が」という気持ちが中々離れず、自分でやった方が速いと思ってやっていたことが走馬灯のように思い出されました。ここで思い出されたのが「能力の低い人ほど、自分の能力を過大評価する」という『ダニンング・クルーガー効果』です。自分の能力が低いと自覚できれば他人のアドバイスを素直に聞けるのでしょうけれど、自分の方が相手より能力が高いと思い込んでいるうちは他人の意見は聞けません。大学生が小学生のアドバイスを聞けないように、自分の方が相手より能力が高いという思い込みがいろんな声をシャットアウトしてしまうのでしょう。自分の過去を振り返ってみると、仕事やその他のアドバイスを色んな人からもらっていたような気がするのですが、相手が自分と同じような経験のない人や立場の全く違う人からのアドバイスに対して全く聞く耳を持っていなかった気がします。自分の方が経験豊富だとか、自分の立場は自分にしか分からないという思いこみを持っていたからだと思います。私は、まさに能力の低い人だったのです。さらに深く自己分析する為にダニング・クルーガー効果について調べてみました。

この効果を定義したデイヴィッド・ダニングとジャスティン・クルーガーによって2012年に行われた「なぜ能力の低い人間は自身を素晴らしいと思い込むのか」という調査によれば、能力の低い人間は以下のような特徴があることが分かった。

・自身の能力が不足していることを認識できない

・自身の能力の不十分さの程度を認識できない

・他者の能力を正確に推定できない

・その能力について実際に訓練を積んだ後であれば、自身の能力の欠如を認識できる。

                                Wikipedia

耳の痛い言葉ですが欠点を認められれば、改善するように努力も出来ます。現状認識できただけでも、成果があったと思って前向きにとらえたいと思います。