通信Vol.207(2021年8月)

 飛騨でも亜熱帯のような暑さを感じる昨今ですが、皆さんはどんな暑さ対策をしていますか?我が家では暑がりのワンコのために昼中リビングにエアコンをつけていますが、猫はどうも寒いらしくエアコンの冷気の行き届かない部屋や暑い二階に逃げています。人間にも動物にも快適な環境ってむつかしいですね。

 

 前回、因果の道理(原因と結果の法則)についてお話ししましたが、今回も引き続き掘り下げてお話ししたいと思います。

 自分が不幸な目に遭った時に誰かのせいにすることがあると思います。「母親のせいで自分の性悪が曲がってしまった。」「あの人のせいで自分がこんなに苦しい思いをしている。」「あの車が煽ってきたせいで自分が事故に遭った。」「あの人の言葉で自分は傷ついた。」等々。誰かのせいにすることで苦しみを和らげようとしているのですが、実はこの考えが苦しみを長引かせているのです。他人に自分の苦しみの原因を押し付けようとしても、相手は自分の思うような謝罪をしてくれなかったり、すでに亡くなってしまっていたりして、思うような心の安定を感じられない場合がほとんどです。万が一相手が謝罪してくれても、取り返しのつかないことに対しては怒りや憎しみがずっと火種のように残る場合があります。

 

ここで因果の道理について考えてみます。原因はどんな場合でも自分自身にあるというのが因果の道理です。たとえ生まれたての赤ちゃんに起こった出来事であっても、その原因は本人にあるという事です。つまり生まれてくる前の前世において何かしらの原因を作ってきたということですね。もちろん他人に害を及ぼす行為や犯罪行為は悪いことで、すべて自分の責任だから他の人は全く責任がないということではなくて、自分にとって幸不幸をもたらす他人は「縁」といって、種から実ができるまでに土や水や肥料、温度、日光といったものがかかわるように、自分の持っている種に応じた縁が向こうからやってくるのです。それは磁石に吸い寄せられるように自分の持っている種が「善い種」ならば「善い縁」が、「悪い種」ならば「悪い縁」が引き寄せられてきます。

 因果の道理を信じるか信じないかは人それぞれですが、ほとんどの人が信じて疑わないから、学校の勉強も自分の成績を上げるために一生懸命やるし、自分が不幸になるのが嫌だから犯罪を犯さないようにするのです。もし自分のやる行為や言う言葉と自分の運命が無関係だと信じているのならば、好き放題、言いたい放題やるでしょうが、そうしないのは大なり小なり因果の道理(原因と結果の法則)を信じているからなのです。

 

 話しを苦しみの原因に戻します。なぜ自分が不幸な目に遭った時に苦しむのかといえば、原因が分からないからです。自分が何者からか苦しめられているような気がするからです。

因果の道理を見ていくということは、自分の心の中を深く見つめていくということです。自分の種まき(本当の姿)が分かれば、色んな結果=運命が自分の作り出したものだと分かるはずです。原因が分からないと腹の立つことも、原因を知ると怒りも治まってくるものです。自分が作り出したものですから、自分が反省するより他に手だてが無いからです。いつまでも他人に対する怒りの火が消えない人は、少し立ち止まって自分の言行を見つめてみませんか?