通信Vol.208(2021年9月)

今年の夏は雨の量も多いし、気温も低かったと感じているのは僕だけでしょうか?寝るときにエアコンをつけた記憶が7月以降無いので寂しさを感じます。個人的には暑い夏が好きですが、もう雲も高くなって、季節は秋ですね。

 

前回、前々回と「因果の道理」(原因と結果の法則)についてお話ししましたが、今回も引き続き掘り下げてお話ししたいと思います。

「因果の道理」とは言葉を変えると「等価交換の法則」ということです。

他人に優しくしたら自分も優しくされる。他人に厳しくすれば、自分も厳しく評価される。誰かをいじめたら自分も誰かからいじめられる。煽れば煽られる。というのが「等価交換」ということです。

 世の中は自分が提供する価値と、周りから得られるものの価値のバランスが取れているということです。他人の不正を批判した数か月後に自分がやった不正で吊るしあげられるブーメラン効果なんていうのも、この「等価交換」です。自分が誰かに何かをしたときに、その相手から同じように返されたら「等価交換」も納得いきますが、ほとんどの場合が時間的・空間的に違うところから還って来るので「等価交換」が腑に落ちないことが多いのです。

 

 与えた後に得られたなら、分かりやすいですが、先に得てしまうことも良くあります。身分不相応に高い物をローンを組んで買った、他人を騙して金品を盗った、付き合いの浅い人から思いがけず高価なプレゼントをもらった、宝くじが当たった、等々です。そんな場合は後からそのツケを払う羽目になります。「等価交換」ですから、得たものと同等の損失や支出を後から強いられます。現状が得られているものの方が多いと思ったら、この先に失うものを心配する必要がありますから、手放しに喜ぶのは早計です。逆に今が与えているものの方が多いと感じているならば、今現在リターンがなくても、この先きっと期待以上のものを手にすることが出来るでしょう。

 

 人間関係においてはどうでしょうか。試しに他人の悪口を言い続けてみてください、間違いなく得られる等価は、自分が誰かに悪口を言われているのではないかという不安です。会社で同僚がコソコソ喋っているのを見て、たとえ実際は悪口を言われていなくても、自分が悪口を言われているんじゃないかと疑心暗鬼になります。実際、他人の悪口を言っている人が陰で悪口を言われている確率はかなり高いです。逆に陰で人を褒めることを続けてみてください。自分は皆に褒められていると思えてきます。まさに自分が与えているものと同等の評価を自分が得ることになるのです。

 

 他人に好かれる秘訣は自分から相手のことを好きになることです。こう言うと「簡単に他人を好きになれない」という人がいますが、「好き」というのは恋愛感情だけではありません。「この人は優しいところがあるな」、とか「かわいらしいところがあるな」とか「頑固なところが憎めないな」といった感じに、どこか一ケ所を好意的に見るということです。相手と付き合いたいとか結婚したいと思わなくても好意的に見ることは出来るのです。相手のことを好きになれば、少しは相手も自分を好いてくれます。心理学では「好意の返報性」と言われていますがこれも「等価交換」です。

 

 自分の言動や身の回りに起こる出来事における「等価交換」を意識するだけでも自分のおかれている環境や心持ちがガラリとかわります。