通信Vol.222(2022年11月)

稲刈りも終わり、いよいよ冬に向けて心も身体も準備段階に入ってきました。皆さんの心の準備は整いましたか。

今回は、「他人からどう見られるか」と「他人からどう思われるか」についてお話ししてみたいと思います。

貴方は自分の表情や身だしなみ、ファッションについて他人からどう見られるかということを意識しますか?たいていの方は、毎朝顔を洗った後、鏡を見て他者からどういう風にみられるかということを意識していると思います。ここを意識しないとしたら、髭は伸ばし放題、ノーメイク、頭はぼさぼさ、よれよれのシャツに、サンダルで出勤なんてことになると思いますが、そうしないのは他人から「仕事のできるビジネスマン(ウーマン)に見られたい」とか、「しっかりした大人に見られたい」という願望からでしょう。「人は見た目が9割」なんて本が出るくらい、第一印象はとても大切で、それを覆すのは相当な努力が要りますし、余計な労力でもあります。

「どう見られるか?」と似た観念に「どう思われるか?」というものがあります。同じことじゃないの?と思う人もあるかもしれませんが、言葉は似ていても全く異質の観念です。自分の姿を見て相手がどう思うかを気にする人は多いと思います。あの人が自分の悪口を言っているのを聞いてへこんだとか、お客さんに褒められて嬉しかったとか、上司に褒められて自信を持てた、という経験のある人も多いと思います。男性が女性に、女性が男性に容姿を褒められて舞い上がることも良くあります。

ここでもう一度「他人からどう見られるか」ということに戻って考えてみます。髪の毛を整える。化粧をする。アイロンの効いたシャツを着る、靴を磨く、おしゃれをする、という行動は全て自分の努力でどうにかなる行為です。対して「どう思われるか」というのは、自分の範疇を超えて相手にゆだねる感情です。自分がコントロールできない問題です。

 

自分の領域

(自分がコントロールできる範囲)

清潔感のある服装

おしゃれする

真面目に振る舞う

誠実に接する

自分の意見を言う

他人に親切をする

相手の領域

(自分がコントロールできない範囲)

清潔に見えるか

おしゃれだと思われたい

真面目だと思われたい

誠実と思われたい

相手に媚びる

他人からのお礼を期待する

自分がコントロール出来ることに気を配るのが身だしなみであったり、マナーと言われる部分です。高級なレストランやカフェへ行くのに、ある程度の身だしなみを要求されるドレスコードというものがあります。場に見合った服装をしたり、人と話すときにマスクをするというのは他人に不快な思いをさせない思いやりです。服装によって他人からどう見られるかは、自分のコントロールできる範囲ですから最大限注意を払うべきですが、自分を見て相手がどう思うかは相手の気持ち次第なので、自分ではどうすることも出来ません。

 

 職場や社交の場で自分が「どう見られるか」には最大限の努力をしても良いと思います。しかしその先にある「どう思われるか」については、考えるだけ無駄ですし、精神的にも不健康な結果が待っています。