通信Vol.221(2022年10月)

つい先日まで暑い暑いと言っていたのに、ここ数日の寒さに耐えられず我が家では、すでに石油ファンヒーターを稼働させてしまいました。

ここ最近何回かにわたって自己受容についてお話ししてきました。そこを踏まえて、ある方からこんな質問を受けました。

「今のままの自分を受け入れるということは、努力向上をしなくてもいいという事でしょうか?」たしかに自己受容で、あるがままの自分を受け入れると、努力向上しなくても良いのではという気持ちになります。努力したくない自分、成長したくない自分、現状を守ろうと思う自分をそのまま肯定して受け入れるということは、その場所に留まることを良しとするようにも受け取れます。

しかし、それは本当に自己受容という事なのでしょうか。受験を控えた子供とお母さんを例にとってみたいと思います。

高校生の子供が模擬試験で結果が出せず落ち込んで帰ってきました。

子 「この前の模擬試験、①結果が良くなかった。志望校あきらめないといけないかも。」

母 「そう、②模擬試験思うような結果が出せなくて③落ち込んでるんだね。」

子 「うん、④自分なりに頑張ったつもりなんだけどなー」

母 「⑤頑張った結果なら、仕方ないよ。貴方が行きたいところへ行けるよう、お母さんは応援して

るよ。

 ここで会話の内容をBeing(こころの状態)Doing(行動)Having(行動の結果得られたもの)に分けてみたいと思います。①はHaving、②もHaving、③はBeing、④Doingです。お母さんは⑤で子供のDoingやHavingは追及しないでBeingを受容し応援しているメッセージを伝えています。

 子供はここで母親に守られている安心感を得て、もっと頑張ろうと奮起します。

逆に母親が「これからしっかり頑張れば、ちゃんと希望の○○大学にいけるわよ、頑張りなさい」と励ますと、子供は「○○大学に行かないと自分は認めてもらえないんだ」と、自分が母親の望む大学に行かないと母親に受容してもらえないと感じてしまいます。

 ここでたとえた子供と母親のやり取りのようなものが、自分の心の中で「自分」と「自分を見守る親」という一人二役のような形で内在します。これをインナーペアレント(内なる親)とインナーチャイルド(内なる子供)と言います。

 実際の親でなくても自分の心の中で、受容的な親が出来上がると、内なる子供の自分は次へのチャレンジが出来るようになります。

チャレンジしたくない今のままでいいという考え方は、自分のBeingが受容できていないからです。人は不安感があると現状を守ろうとします。現在立っているところから動かないのが自分を守る最善の方法だからです。これは太古の昔から培ってきた生きる知恵だとも言えます。大昔は自分の命を狙う獣や山賊、海賊から命を守るために知らない土地を歩かないとか、新たなことを試みないというようなことが経験的に身についていました。

年月は大きく移り変わっても太古のプログラムが脳に組み込まれています。だから、毎日同じことを繰り返すことに安心感を覚え、現状の殻を破ろうと思わないのです。

 ロシアの作家トルストイ「誰もが世界を変えたいと思うが、誰も自分を変えようと思わない。」と言っていますが、これはまさに人間の本質をついていると思います。

 新たなチャレンジの為に受容的な「インナーペアレント(内なる親)」を育ててみませんか。

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