通信Vol.225(2023年2月)

日に日に日没が遅くなって、春の足音が聞こえてきそうな今日この頃です。

今回は、心療内科医が書いた本『我慢して生きるほど人生は長くない』(鈴木裕介著アスコム)を紹介したいと思います。

貴方が誰かに自尊心を傷つけられて嫌な思いをしたことが度々あるとしたら、自分と相手の境界が曖昧である可能性があると著者は言っています。境界とは自分と相手を分ける境ということですが、土地の境界や国境のように目に見えるものではありませんから意識しないと気付かないかも知れません。

自分の境界を侵害してくる人というのは、例えばこんな事を言ってくる人です。

「社会人として○○するのは当たりまえだ。」

「いい歳して○○するのは、みっともない。」

「男(女)のくせに、○○するなんて恥ずかしい。」

「俺の言うことが聞けないのか。」

「私が○○なのは、あなたのせいだ。」

「つかえないやつだ。」

「才能がない。」

「あなたは仕事が出来ない人ね。」

「あなたでなくても、会社はまわる。」

「子供は親の言う事を聞くのが当たり前でしょ。」

「どうして私を大切にしてくれないの。」

「あれほど口酸っぱく言っているのに、どうして報告をしないんだ。」

といった言葉で、自分の価値観で貴方をジャッジして、貴方の領域に土足で踏込み、貴方をコントロールしようとしてくる行為を、この本ではラインオーバー(境界を侵害)してくる人と呼んでいます。自分でコントロールできることは自分の領域、自分でコントロールできないことを他人の領域と言いますが、この区別が出来ずに他人の領域に踏み込んでくる人が身近にいる環境で、自分自身が自分の境界を守れないと心が疲弊してきます。

自分の家でも知り合いが家の中に上がりこんで居座った時に、近しい相手であればあるほど「出て行ってくれ」とは言いにくいのではないでしょうか。それと同じように近しい人が親切者の顔をして自分の領域に踏み込んできて「あなたは○○するべきだよ。」「絶対別れたほうが良いよ。」などと頼んでもいないアドバイスをしてきた時に、「放っておいて。」とは言いにくいのではないでしょうか。もしあなたが「私の問題だから、そっとしておいて欲しい。」と相手に言えるのであれば、境界を守れていると言えるでしょう。

著者は、こういうラインオーバーしてくる相手を遠ざける方法を3つのステップに分けて紹介しています。

  • 三者に相談する。(客観的、率直に意見を言ってくれる信頼できる相手)
  • 気持ちを伝える努力をする。(iメッセージで伝える)
  • 相手を「ノー」の棚に分類して、接触を避ける。

具体的な方法が知りたい方は、是非本を読んでみてください。(ブライト図書館で貸し出ししています)